総社市長　竹内洋二　様

公教育に対する不当な政治介入を即時中止し,文科省要望を取り下げ、市民・県民への謝罪を要求する申し入れ

　新聞報道によると、貴職は教科書の採択に関して、扶桑社の「あたらしい歴史教科書」を総社市内の公立学校で採用させるため、教育委員会の方針に反して共同採択地区からの離脱を文部科学省に要望されています。

このことは総社市の行政の長が個人的な特定の政治信条から公教育内容に介入しようとするものであり、断じて許すわけにはいきません。
　私たちは、貴職が今すぐこのような介入を中止し、要望を撤回して市民・県民に謝罪するよう要求します。

　そもそも、戦前において国家が戦争政策を推し進めるために学校教育内容を統制し、「天皇のために命を捧げる」軍人・国民を育てる教育が推し進められた苦い教訓から、教育内容に対する政治や権力の介入を排除するため、戦後の憲法・教育基本法の趣旨に基づき、教育行政については行政の長から独立した教育委員会に任せられているのであり、教科書の選定などの教育内容に関しては現場の教師と教育委員会の責任において決定していくべきものであります。

　自治体の長として憲法擁護義務を負う市長が特定の政治信条に基づき、平和主義の理念に基づく日本国憲法の趣旨に反して侵略戦争を美化する教科書を推薦することそのものが断じて許されないものです。ましてや行政の長が公教育内容に関する教育委員会の決定に関して政治的介入を行うようなことは絶対に許されるものではありません。

このような基本的な見識も持たない人物が市長として総社市民を代表していることそれ自体が異常です。今すぐ貴職が公教育内容に対する不当な政治介入を即時中止し、文科省要望取り下げと市民・県民に謝罪をするよう重ねて要求します。

２００５年７月３０日　　岡山県平和委員会　会長　中尾元重